山形県鶴岡市で保育士をやってる48歳です。
私がおすすめする絵本は
「きつねのおとうさんはにっこりわらっていいました」作: みやにしたつや です。
お友達への気遣いと、自分の「これがしたい!」という気持ちの葛藤が生まれ始める3歳児くらいから読んであげて欲しい絵本です。
育児中のお父さんお母さんも、子どもの気持ちになって一緒に読んであげてくださいね。
「きつねのおとうさんはにっこりわらっていいました」 のあらすじ
ある日キツネのお父さんは家族に豚をつかまえに行ってくる!今日はとびっきり美味しい豚料理を楽しみにするようにと、豚の住む町まで出かけていきました。
しかし、キツネが着いた街の豚は、キツネが恐ろしいだなんて知らなかったのです。
そんなことは構わず早速赤い屋根の家の豚に襲いかかろうとしたその時です…
「おじさん何してるの?リンゴを取っているから背中を押してよね」と言われてしまったのです。
するとキツネのお父さんは思わず「はい!」と答えてしまいました。
そしてなぜか、りんごを一緒に取るはめになってしまったのです。
そして豚に「ところでさっき何をしていたの」と聞かれ、思わず「リンゴを取りに来たんだよ」と言ってしまいした。
するとブタからおもわぬリンゴのお土産をもらい嬉しい気持ちになりながらも、少し変だなと思いながら次々豚の家を訪れていきます。
しかしそれぞれの豚の優しさに触れ豚に対する気持ちが変わっていくのです。
そしてとうとう豚を捕まえずに清々しい表情で「また会いにくるからね!」と挨拶をし家に帰りました。
そして家に着くと豚を楽しみにしていた家族に対して今日の出来事をニコニコしながら話しました。
そして最後にキツネのお父さんはにっこり笑って言いました。
「こんな優しい豚をたべれるかい?」というお話です。
「きつねのおとうさんはにっこりわらっていいました」 のレビューとおすすめポイント
私は、みやにしたつやさんのお話が大好きでよく子供たちに読み聞かせをします。
その中でも今までの絵本の中で一番タイトルが長いのでは?と思うこの絵本がお気に入りです。
読み始めると、子供たちはキツネのお父さんの視線で話をきいているので、豚を捕まえずに、何故か豚の手伝いをしていることに疑問を感じるのと同時に豚も捕まえられて食べられるのは可哀想だし…と複雑な心境になるようです。
しかし読み進めると豚の優しさに触れ、キツネが改心していく様子に子供たちも安堵の表情が見られます。
この絵本のポイントは、本当は豚に恐怖を与えるために近づいたのにも関わらず豚がキツネのお父さんに対して優しく接してくれるというところだと思います。
キツネのお父さんも「自分は意地悪をしようとしているのになぜこんな僕に優しくしてくれるのだろう」という思いを繰り返し経験することで、自分だけ良ければそれでいいという考えを改めることができたことで、家族に清々しい気持ちで自分の想いを伝えることが出来たのだと思っています。
子供達も、日々過ごす中で友達に意地悪な事をしたり、言ってしまうことがあります。まだまだ自分中心で自分だけ楽しければ良いと思うことで、独り占めをしたり…という姿はよく見られます。
そういった時に意地悪をされたからといってやり返したり、避けてしまったり、同じようにものを共有することを拒むのではなく、どんな相手であっても優しく関わって欲しい。
そうすればきっと相手の気持ちを動かし優しさが伝わっていくはずだと言う思いを込めて読んでいます。
この絵本はそういったメッセージを重く描いたものではなく、豚とキツネのお父さんのポップな会話から自然とストーリーの大切な部分が伝わってくるのがとても良いと思います。
絵の雰囲気や文字の多さ、内容のわかりやすさなどを見ると、3歳児から読み聞かせていくことができます。
そして年齢に応じた視点で考え感じたことを伝え合うことが出来るのでとても良い本だと思いオススメです。