栃木県宇都宮市の認可外保育園で働いている4年目の保育士です。
私は子どものやりたい!という意欲を高めてくれる絵本
「まゆとカッパ」 作:冨安陽子 絵:降谷なな を紹介したいと思います。
子ども達とお相撲をするきっかけにもなりますが、挑戦する大切さや意欲を引き出してくれる絵本ですよ。
「まゆとかっぱ」のあらすじ
やまんばの娘のまゆは、力持ちでどんなことにも興味いっぱいな女の子。
いつものように山を散歩していると、今まで出会ったことのカッパみどりまるに出会います。
みどりまるは、大きな岩に向かって一生懸命相撲の練習をしています。
話を聞くとみどりまるは相撲大会のチャンピオンになりたいという目標がありこの岩を投げ飛ばすことができると、きっと今のチャンピオンであるでっかまるに勝てることをまゆに伝えると、初めて出会うカッパ、そしてした事の無い相撲に興味いっぱいのまゆは一緒に相撲の練習をすることになりました。
練習をしていると、まゆが大きな岩を向こう岸まで投げ飛ばすほどの力の持ち主であることにみどりまるはびっくり仰天!!
その騒ぎを聞きつけた沼のそこにいた色とりどりのカッパ達が顔を出しました。
その中には不動の相撲チャンピオンのでっかまるがいました。
それほどの大きな岩を投げ飛ばすまゆに興味を持ったでっかまるは、まゆに相撲勝負を挑みました。
でっかまるとまゆの体格の差はかなりそこに居合わせたカッパたちは、まゆは絶対に勝てないだろうと思っていましたが…。押して、押されての大接戦!思わず息を飲んでしまうような試合にワクワクが止まりません。果たして勝負の行方は…!
「まゆとかっぱ」のレビューとおすすめポイント
この絵本のポイントはカラフルに描かれた様々なカッパたちです。
お皿も誰1人同じカッパはいないし、表情も豊かです。
ストーリーの途中でも思わずページをめくるのを止めてゆっくり絵を楽しんでほしい、子供の感じた事を想いを聞きたいと感じさせてくれます。
そしてストーリーの良さです。カッパとの出会いから終わりまでワクワクが止まりません。
それは主人公まゆの豊かな表情、一つ一つの言葉が子供達の心にすっと届くようです。
特にラストの体格の差があまりにもありすぎる、でっかまるとまゆの戦いは手に汗を握る展開そして画面いっぱいに描かれた勝負模様です。
主人公まゆの大ピンチに思わず声を上げる子供の姿や、立ち上がって応援する子もいます。
それほど夢中になって絵本の世界に入り込むことができる事によんでいる保育士自身も感激してしまいます。
そして読み終わった後子供達の気分は主人公のまゆです。必ず言われることは「先生お相撲対決しよう!」です。
小さい自分をまゆ、大きい先生をでっかまるに置き換えているのでしょう。
相撲対決では全力で思い切りぶつかってくる姿があります。先生と相撲を取る機会なんて滅多にないので、子供達は生き生きと楽しんでくれます。自分の思うような勝負ができず、中には負けて悔しくて大泣きする子もいます。
しかし次こそは勝ちたいという思いから、家に帰りこっそり練習する子、家族総出で練習をした子、そして苦手な野菜を食べて力をつけてきた子や普段見ることのない相撲中継を見て研究した子、オリジナルの技を考えてきた子など様々なエピソードがこの絵本をきっかけに生まれてきました。
そして、しばらく相撲ブームが続きました。
ただ相撲を取るだけではなく、遊びの面では、相撲の絵を描いたり紙相撲を作ったりと遊びはどんどん展開していきました。
そして生活面で大きく変わったのが苦手な食べ物をしっかり食べるようになったことです。
いつも残さずに完食する担任を見て、強さの秘訣はそこなのだろうと感じたようです。
子供のやってみたいという意欲を引き出してくれたこの絵本はとてもお気に入りです。
まゆとかっぱ やまんばのむすめ まゆのおはなし (こどものとも絵本)