適応障害を隠した転職先の保育園で再発!退職しても諦めなかった保育士人生

私は東京都大田区の認可保育園で3歳児クラスを担当している7年目の保育士です。

みなさんは保育士をしていて強いストレスを感じた事はありますか?

私は4年前に適応障害と診断され、新卒から働いていた保育園を休職後に自主退職という形で追い出されました。

ストレスを感じない仕事はないと思いますが、心が傷つくほどの強いストレスはまったくの別物です。

保育園で慢性的に強いストレスを感じる場合には、早めに園長や家族に相談することをおすすめします。

人手不足もあり、保育士の転職は比較的しやすいと言われていますが「適応障害」「うつ病」といった精神疾患の既往歴がある保育士の転職は、難しいなんて言葉では言い表せない程つらく厳しいものでした。

「適応障害」や「うつ病」になった保育士の転職にくらべれば、入社3ヶ月での退職、新卒1年目での退職は何の障害もないようなものです。

保育士は心と体が資本!

もし、あなたの心が傷つき始めていたら、その保育園をやめても全然大丈夫ですよ。

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ホワイトな保育園で成長できた新卒からの3年間

私は大学を卒業後、全国に保育園を持つ大きな保育園の株式会社に入社することになりました。

サービス残業や持ち帰り業務が、まだまだ多いと言われている保育業界のなかでは珍しく、残業は1分単位で支払われる上に、残業は基本なし、有給もちゃんと使えるホワイトな保育園でした。

入社式の後には新卒保育士向けの新人研修、ハラスメント研修などもあり、しっかりと新人保育士として経験を摘む事ができました。

忙しいながらも1年目、2年目と徐々に慣れていき、保育士として成長を感じ始めた3年目に私の人生を狂わせる出会いが待っていました。

私を適応障害にした主任保育士との出会い

日々バタバタ感に追われながらも楽しい保育士生活を送っていた私は、働いていた保育園を退職するなんて事も、ましてや自分が適応障害になるなんて事は考えた事もありませんでした。

適応障害やうつ病の怖い所は「自分には関係ない」「自分は大丈夫」と思っている人がいつの間にか心を傷つけられている所です。

当時の私に「あなたは適応障害になるから気を付けて!」といっても間違いなく聞き流すと思います。

私に適応障害になるほどのストレスを与えたのは、別の姉妹園から異動してきた主任保育士でした。

その主任保育士は園長からの信頼も厚く、運営本部からも期待されていた次期園長候補で、仕事をテキパキとこなす優しい人でした。

主任保育士の優しい言葉がストレスになる日々

主任保育士は指導力もあり、投げかける言葉も優しい頼りになる上司でした。

しかし、言葉や文字にすると、なぜそれがストレスになるのか伝わらないのですが、私は気がついた時には、主任から受ける言葉でストレスが蓄積されていました。

主任が指示を出す時に必ず言う「〇〇できる?忙しければ私がやるから言ってね」という言葉や、ミスをした時の「わからない事は恥ずかしい事じゃないから」という言葉はとても配慮がある言い方なのですが、その言い回しなどがプレッシャーになったのだと思います。

主任の部下を叱らない指導方法と優しい言葉は不思議なほど、私を追い詰めていきました。

当時の私が感じていた、一番のストレスは「主任から受けるストレスを誰かに説明する事ができない事」だったのかもしれません。

友人や家族に主任のことを相談しても返ってくるのは「いい上司じゃん」の言葉ばかり。

私は心の中で「説明できないけど主任が原因で私は保育園に行きたくないんだ!」と叫んでいたと思います。

適応障害やうつ病になる人の中には、私の様にストレスを受けているけど、うまくそのストレス原因を他の人に説明できないという人も少なくないと思います。

そんな時はどうやってこの気持ちを説明しようと悩まないで「嫌なものは嫌!」と割り切って逃げ出すことをおすすめします。

新卒3年目で体験した適応障害という病気の恐ろしさ

他の人には理解されないまま、私はストレス漬けの保育士生活が続いていきました。

ストレスが原因なのか、私がポンコツなのかわかりませんが、いつの頃からか私は毎日何かしらのミスをするようになっていました。

寝ても覚めても考えるのは「保育園に行きたくない」「明日は主任から何を言われるんだろう」というネガティブなことばかり。

時間があればTwitterで「保育士やめたい」とつぶやく毎日。

去年までは保育士にやりがいを感じながら、忙しい日々を笑顔で送っていたのに気がついた時には半年以上、保育園で笑っていませんでした。

私が「これは病気だ」と確信するのはさらに3ヶ月ほどたった後でした。

自宅に帰る道端で主任保育士からの着信を見た瞬間に、何かすごく嫌なものが体中を駆け巡りたまらずスマホを地面にたたきつけた後、気がつけばその場に座り込み涙を流していました。

適応障害は知らず知らずのうちにストレスがたまり、心の限界を超える恐ろしい病気です。

気がついた時にはすでに、身体的なストレス反応が出ていて、とても働けない状態…なんてことが多いようです。

翌日保育園を休んで心療内科で診察を受けた結果、私は「適応障害」と診断され、即日休職するようにと医師から1か月間の休職の必要性が記載された診断書を出されました。

休職期間中に繰り返される被害妄想と持て余す時間

当時、私が働いてた保育園はコンプライアンスがしっかりしていた会社だったので、病院から貰った診断書をメールで送るとすぐに人事労務部から休職承諾のメールが返ってきて、翌日から休職することができました。

保育園と主任から物理的な距離を置けたことで、ストレスは驚くほど減り、3日後には不眠症やだるさが回復している実感を得ることができました。

このままなら1週間もあれば、職場復帰できるんじゃないかと思い始めた頃に私を襲ってきたのは被害妄想。

「ミスばかりするのに休職して本当に迷惑」「あいつがいなくなって仕事がしやすくなった」そんな陰口を保育園のみんなが言っているのではないかと、自分で自分の心を痛めつけてました。

休職期間中はとにかく時間があるので、家事をしたり運動をしたりしてボーっとすることを減らすと被害妄想やネガティブな想像をしなくなるのでオススメです。

休職期間終了による退職という名のクビ

すぐに復職できると思っていた私の考えに反し、私の心と体は職場復帰を拒絶し続けました。

3か月たっても医師から復職の許可が出なかったため、保育園は会社のルールにのっとり、私の自然退職の手続きを事務的に行いました。

適応障害が治る見込みがない、私に対する実質的な「クビ」です。

人事労務部に対して「復職のチャンスが欲しい」「働けるはずなんです」と電話しても取り合ってくれることはありませんでした。

今にして思えば、電話してる時の私は「会社に捨てられる」「私の価値がなくなる」という強迫観念に襲われていたので、あきらかに精神的に不安定で職場復帰ができる状態ではなかったと思います。

不採用の連続に耐えられず適応障害を隠して転職

保育園を解雇されたあと、2か月ほどで医師からも仕事復帰の許可がおりたので転職活動をはじめました。

しかし、転職活動をはじめてすぐに「適応障害で休職・退職した保育士」の転職活動が普通の転職活動とまったく異なる事に気づかされました。

20件以上の保育園に応募した結果は全て不採用。面接まで行けた保育園は0です。

人手不足の保育業界は未経験でも、転職先が簡単に見つかるほど売り手市場と言われているのに、まったく面接に進む事ができませんでした。

この時思っていたのは「自分の存在価値の無さ」の悲しみと、私を適応障害にした主任への恨み言でした。

転職活動に行き詰った私がとった行動は「適応障害を隠して転職活動をする」という行為でした。

もし、あなたが転職に行き詰まった結果「うつ病や適応障害を隠して転職しよう」と思っていたら、私の経験上、いい結果にはならないのでやめておいた方がよいと思います。

転職成功から重度の抑うつ状態へ

転職活動に行き詰った私は、適応障害で保育園を休職していたことを記載していないで履歴書を書くようにしました。

すると面接に進める機会は激増し、すぐに内定を貰えました。

この時の私は「最初から適応障害の事を隠しておけばよかった」と心から思っていましたが、新しい保育園で働き始めて2か月後に後悔することになりました。

新しい保育園はいわゆるブラック保育園で、サービス残業や休憩なしは当たり前の状態。

寝不足でストレスが溜まった所に、園長のパワハラ発言を受け、仕事中に涙が止まらなくなり既往歴がある事がばれてしまいました。

新しい保育園に転職したばかりだった私は使用期間中だった為、休職もとれずにそのまま退職となり、再び心療内科に通院する事になりました。

心療内科からは「重度の抑うつ状態」1か月の休職が必要と診断されました。

2回目の転職活動で実感した「うつ病経験者」の価値

前回の転職活動で既往歴のある保育士が自力で転職する難しさを経験した私は、転職エージェントを利用した転職を決めていました。

転職エージェントに登録すれば、転職できると甘い考えを持っていた私を待っていたのは、予想を裏切る自分自身の保育士としてほ価値でした。

面談開始直後はニコニコと笑顔を見せるコーディネーターが「適応障害」「うつ病」「既往歴」「精神疾患」という単語を出した瞬間に「はずれを引いた」という顔をした後に、優しい言葉で話ながら理由をつけて早く面談を終えていきました。

どのコーディネーターも保育園を3社ほど紹介してはくれましたが、数日後には応募不可の連絡がきて終わりという流れがお決まりでした。

コーディネーター達から言われた「うつ病の保育士を雇うリスク」という言葉が私の保育士としての価値の無さを痛いほど教えてくれました。

6社の転職エージェントとの面談が終わり、紹介されたすべての保育園から応募不可の連絡がきた時に私の保育士人生は終わったと思いました。

働きたいけど働けない苦しみを理解してくれる人がいなかった私は本当に孤独で、再びうつ病になるんじゃないかと思ったほどツライ時間でした。

既往歴を隠して転職した私を叱ってくれた元保育士

転職活動を続ける気力がなくなっていた私に希望を与えてくれたのが、一度面談した転職エージェントからZOOMで話ができないかという連絡でした。

藁にも縋る思いで、コーディネーターとZOOMを使った2度目のリモート面談に臨むと、当日面談したのは前に担当したコーディネーターとは別の方で、元保育士との事でした。

今までのコーディネーターとは明らかに雰囲気が違い、けっこうキツイ言い方もされました。

「保育士はストレスが強いから他の仕事の方がいいんじゃないか?」

「本当に保育士がやりたいのか?」

正直、なんでそんな言い方をされないといけないの?とも思いましたが、真剣さが伝わってきたので色々と本音で話しました。

とくに「既往歴を隠して転職することの危険性」について説明されたあと、「もっと自分を大切にしなさい!」と強く叱られたことが嬉しくて、涙を流したのが記憶に残っています。

脳腫瘍から復帰した園長との出会い

リモート面談が終わってからしばらくたってから、元保育士のコーディネーターから条件付きではあるが、1つの保育園が面接してくれるという連絡が入りました。

面接の条件は「嘘をつかずに正直にすべて話す事」というなんともプレッシャーをかけてくる条件でした。

内定を貰ったわけでもないのに、面談のチャンスをもらえるというだけで、ずいぶん心が救われた気がしました。

その園長との面接はとても緊張感のある面接でした。

ピリピリした空気の中、保育士として働きたい動機から、うつ病の状況まで洗いざらい話したり、個人情報的にはアウトな質問をされたりと異例な面接でした。

面接が終わったあと、面接中の空気がウソの様にフレンドリーになった園長からその場で内定を貰う事ができました時は本当に驚きました。

後から園長に聞いた話ですが、元保育士のコーディネーターさんは、いろんな保育園に「既往歴があるが本当に保育士をやりたい求職者がいるから面談して欲しい」と頼み込んでくれていたようです。

面接をしてくれた園長は過去に脳腫瘍の手術を行ったことがあり、その時に転職で苦労した経験が私の状況と被ったらしく本気で保育士を続けたいなら会ってもよいと言ってくれたようです。

既往歴を伝えた保育園で働く安心感

私が今も働かせてもらってる保育園では、私がもともと「適応障害」「うつ病」を経験してる事を保育士全員が知っています。

入社する時に既往歴を会社に伝える義務はないし、プライバシー的に園長と主任だけ既往歴の事を共有して隠して働く事は可能だけどどうする?といわれました。

今の時代は個人情報やプライバシー、コンプライアンスと色々な情報規制がありますが、私はこの保育園でちゃんと働きたいという思いから既往歴を公表して働く事を選びました。

既往歴を公表した事でキャパが超えそうな時や、心がやばいと感じた時に相談しやすい環境が整ってからは心が傷つくストレスを感じることがなくなりました。

今では精神疾患の経験者として「適応障害の予防研修」の講師として私の経験を姉妹園の先生にお伝えする機会もあったりします。

適応障害を経験した保育士にとって「安心して働ける保育園」というのは想像以上に心が落ち着く職場なんだと実感しました。

「適応障害」「うつ病」で転職に悩んでる保育士へのアドバイス

女優の深田恭子さんやテニスの大阪なおみさんの報道で「適応障害」や「うつ病」は誰でもなる病気というイメージが広まりましたが、想像以上に転職を難しくする病気だと思います。

さらに悪い事に保育士は「適応障害」「うつ病」になりやすい職業と言われています。

病気になる前に産業医との面談やストレスチェック以外にも、友達に愚痴を言ったり憂さ晴らしをちゃんとする事をおすすめします。

書類選考で不採用になり続ける、転職エージェントからハズレとして扱われるほど難しい転職活動を強いられることに比べれば、既往歴がつく前に退職してリフレッシュして転職する方が100倍簡単だと思います。

もし、私と同じく既往歴がついてしまった人は、本当に保育士として働きたいのかをしっかり考えてみるといいと思います。

アルバイトやパートをして時間がたてば症状も落ち着くし、履歴書的にも転職がしやすくなるはずです。

それでも保育士として働きたい場合には、複数の転職エージェントに登録して、既往歴に理解のあるコーディネーターと出会えるまで頑張るしかないと思います。

転職できなくて心が折れそうな時には、ここに経験者がいる事を思い出してくれたら嬉しいです。

応援してます。

保育士におすすめの転職エージェント

私が2回目の転職活動の時に登録した転職エージェントは6社です。

既往歴がなければ自分で応募したり、1社だけ転職エージェントに登録するだけでいいんじゃないかとも思います。

1社だけ転職エージェントをおすすめするとすれば私は「ほいく広場」をおすすめします。

理由は本気で私に向き合ってくれたコーディネーターがいたからです。

転職エージェントはコーディネーターによって対応が違うので、必ず「ほいく広場」でいい出会いがあるわけではないと思いますが、既往歴のある私の転職を成功させてくれた会社なので、真剣に転職したいと思ってる保育士さんであれば間違いなくいい保育園を紹介してくれると思いますよ。

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